「だれか」
感覚がマヒしはじめる―― 自分の意識が、 何かを失いかけていると、 今 気付いた。 あんなに苦労して手にしたはずの、大切な何か―― バランスが崩れさる前に、誰かが気付いた。 「このままではいけない――」 刹那、記憶に埋もれた、その時の感覚を 頼んでもいないのに 引っ張り出してきた。 賢い誰か。皮肉なまでに頼もしい。 過去のネガをひとつひとつ、たどっていく。 このまま 昨日まで見きってしまったら ちっぽけな今のボクなんて いとも簡単に崩壊するだろう。 この葛藤にボク自身押しつぶされる前に 今日はもう扉を閉ざしてしまおう。 区切りをつけるには まだ早いけれど この代償には代えがたいものだから。 ゆらり ゆらり 揺さぶられるレコードを 途切れることなく回し、葬りにつこう。 気が付いたらそこには 要らないものを全て忘れ 全く違う誰かが 目覚めていることだろう。 「さあ、これで整理が付いた? |